毎日の生活の中で、安心して飲み続け、心も体も癒される
無農薬・自然栽培の「ゆっくりと茶リレーエッセイ」を連載しています。

 


 

ぼくは、福祉の現場を取材してテレビで放送するという仕事を一五年間続けてきた。

 

二〇一三年、春、その番組が、突然打ち切られ、障害者の声を届けるというぼくのライフワークは失われた。

その時、はじめて気づいたことがある。〈過去に取材した町々の福祉事情は多少知ってはいても、自分が暮らす町、箕面市のことは、なにも知らないぼく自身の浅薄さ〉。ぼくは、箕面市の障害者福祉の今を知るべきだと思った。

 

さっそく、市内の事業所をインターネットで調べ、ぼくが向かったのは、「ゆっくり」という雑貨の店だった。いきなり訪ねたぼくを、怪訝そうな顔で出迎えたのが職員の北川恭子さん。北川さんとの出会いがきっかけで、ぼくは、その年の秋、「ゆっくり」の運営母体である豊能障害者労働センターの活動を取材し自費で番組を制作、テレビ放送することになる。

 

二〇一五年一二月。テレビの放映から二年が過ぎていた。

 

「お茶をつくっているところを一緒に見に行きません?」。突然の電話だった。相手は北川さん。お茶って…それ何のこと?ぼくは、事情がよく飲み込めないままとりあえず誘いを受ける。「日程が決まったらまた連絡しますね〜」、それだけ言うと北川さんは、そそくさと電話を切ってしまう。一本の電話が、ぼくを特別なお茶の世界に誘おうとしていた。

 

労働センターでは、リサイクル品や介護用品、さまざまな雑貨を販売している。商品のひとつに奈良の大和高原で作られているお茶もある。今回、見学に行くお茶というのは、労働センターでは「耕心茶」のなまえで販売されている特別のお茶らしい。

 

年が明けて、再び北川さんからの電話。「見学の日が決まりました。二月一〇日。午前一〇時出発で〜す、遅れないようにしてくださいね。私は仕事があるので行けませんけど、よろしく〜」。えっ!と思う。労働センターの方々の研修に、部外者のぼくがひとりぼっちでついて行く。ちょっと心細い…。

 

二〇一六年二月一〇日。奈良市の東、旧都祁(つげ)村(現奈良市針町あたり)の健一自然農園にぼくはいた。農園と言ってもあたり一面、山ばかり。二月の大和高原はかさかさと乾いた感じで、緑まぶしい茶畑のイメージはない。山の斜面一帯が三〜四メートルほどの木立におおわれ、冬特有の色あせた木の葉が繁っていた。

 

「これが三年番茶(の茶木)です。」丸くて大きな目が印象的な、代表の伊川健一さんが、刈り取りも終盤にさしかかった畑に案内してくれる。高原の頂上では、茶摘みとはほど遠い、豪快な茶木の伐採が繰り広げられていた。

 

しかし、このときはまだ、「三年番茶」というお茶がどういうものなのか、ぼくはよくわかっていなかった。もちろん労働センターから送られてきた資料には目を通していたし、試飲用に頂いたお茶も一通り飲んではいた。けれどもそれは、まったくうわべだけの理解にすぎなかったし、このお茶の貴さにも気づいていなかった。

 

労働センターが販売する「耕心茶」。実は、健一自然農園の「三年番茶」を独自に袋詰めしたものだ。そのお茶作りについて断片的に語られる伊川さんの言葉、たとえば、「耕作放棄地」とか、「無農薬」で「肥料もやらない」、「三年間」、「鹿児島で実際に…」などという言葉からは、なにやらとてつもないお茶がここで作られているらしい…そんな迫力が伝わってきた。

 

ぼくは、帰宅後、「三年番茶」のことを詳しく調べてみた。「三年番茶」とは…

【一】マクロビオティック(長寿術)の伝説的なお茶らしい。唐の時代に伝わったとされ、薬、とくに解毒薬として使用されていたという記録があるという。

【二】畑で三年以上成長させた茶木を冬場に根元から刈り取り、幹と枝、そして茶葉、それぞれを薪火で焙煎する。マクロビオティックの提唱者、桜沢如一氏の考え方だという。

【三】桜沢氏の依頼で、最初に「三年番茶」の生産を行ったのは、佐賀県の生産者、熊谷綱次郎さん。熊谷さんのあとを受け継いだのが、鹿児島県の川上寛継さんご夫妻。「健一自然農園」の伊川さんは、茶作りを直接、鹿児島で視察し、「三年番茶」の生産法の肝を直感的に吸収されたとのこと。

 

このお茶は、茶木の生育に適した自然環境や、化学肥料・有害物質の影響を受けない健全な耕作地を確保するなど、いくつかの条件を満たした場所でしか作ることのできない特別なお茶だった。それが今、九州から奈良。奈良から箕面へつながっている。労働センターの「耕心茶」として多くの人々の心と体へ届いている。

 

ぼくは、毎日このお茶を飲む。水色は、うっすら淡いあめ色。味は、じゅうぶんに焙煎しているため香ばしい。薪火による焙煎は、とても珍しく贅沢なお茶。個人の感想としては、腸の調子が良くなった。お腹が快適だから、からだ全体も快調に感じられてくる。無農薬で肥料もなし。三年間、大自然の恵みだけで育った茶木の力強さがとけ出した特別のお茶。さまざまな人々の思いが詰まった箕面の「耕心茶」は、心をつなぎ、命をつなぐかけがえのないお茶だと、ぼくは思う。

 

高柳 保男

 

高柳 保男 プロフィール

1958 年生まれ。58 歳。箕面市在住。
石川県金沢市出身。フリーランスライター、放送作家。
1998 年〜 2013 年、KBS 京都で福祉番組「ふれ愛さんか」を制作。
2013 年、自費で「豊能障害者労働センター」を紹介するテレビ番組を制作、放送する。
現在もテレビや雑誌の取材を行っている。

 

 

毎日の生活の中で、安心して飲み続け、心も体も癒される
無農薬・自然栽培の「ゆっくりと茶リレーエッセイ」を連載しています。

 


 

リサイクル担当の辻です。

 

「積木」読者の皆様、ブログの読者の皆様、

バザー用品を提供してくださっている方、

本当にいつもありがとうございます。

 

おかげさまで先日、年に一度の春の大バザーも無事終えることができ

少しホッとしております。

 

今後も日常のリサイクル事業を大切にしていきたいと思います。

 

今回はお茶の事で少し書かせていただきます。

 

元々、私はお茶を楽しむ、美味しく飲むという事がなかったので、

こだわりなくペットボトルのお茶、スーパー等で安く売っているパックのお茶を

沸かして飲むという生活を送っていました。


労働センターでお茶を販売することになり、販売の準備の中で、

色々な種類のお茶を試飲してきました。

 

お茶の種類の名前だけは知っていましたが、

どのような工程を経てそのお茶になるのかということを初めて知るごとに

「へぇ、そうなんや」と思うことばかりでした。

 

試飲した中で気に入ったお茶の葉を少し分けてもらい、

家でも試してみました。

 

今、小学五年になる娘がいるのですが、学校に行く時に毎日水筒を持って行きます。

先ほど書いたようにペットボトルのお茶や、パックのお茶を持たせて学校に行かせていました。

 

それが原因かどうか分からないですが、いつも少し残っていて、

半分くらい残っている時もあり(体調や気候もあるけれど)、

それが日常だったのであまり気にとめていませんでした。

 

それから、先ほどの試飲して気に入ったお茶を家で沸かし、

翌日から娘の水筒に入れて持たせたら、不思議だったんですが、

残さず持って帰ってくる日が続きました。


「最近、お茶残してへんやん?」と聞くと「お茶、変えたやろ、美味しいわ」と。

好き嫌いはあるものの娘に合ったお茶なんだと感じました。


二月に健一自然農園に見学に行かせてもらいました。

山と大地の豊かな力強さ、その土と共に自然栽培で育っているお茶の木を見ながら、
学校に持っていく水筒を空っぽにして帰ってくる娘を思い出し、

「ここのお茶飲んでるねんでと」教えたくなりました。

 

娘にかぎらず、その人に合うお茶に出会うことができたら

楽しいのだろうなと思います。

 

お茶初心者の私がいうのもなんですが。

 

辻 伊織

毎日の生活の中で、安心して飲み続け、心も体も癒される
無農薬・自然栽培の「ゆっくりと茶リレーエッセイ」を連載しています。


私は、今までお茶を「特別なもの」という意識はなかった。

当たり前に身近に存在するもの。スーパーなどに行けば、手頃で買えるもの。

お茶自体に特にこだわりを持っているほうではなかった。


私は中二の頃から心療内科に通っていて、今もずっと薬をのんでいる。

薬の副作用ですごくのどがかわいたりする。

症状的なものでは、急に不安になったり、色々なことがこわくなったり、

ひどかった時は、パニックがおさまらなかった。

 

そんな時は必ず、あたたかい紅茶やお茶を飲んでホッとするようにしている。

 

今年の二月頃だったか、色々な事が嫌になって、しんどくなってしまった時があった。

その時、職場の同僚に「今中さん、耕心茶飲んでみたら」と言われ

初めて耕心茶を買って飲んでみた。

 

作り方は色々あるみたいだけど、私はお茶のパックに耕心茶の茎みたいなのを

三杯スプーンで入れて、沸騰させたお湯に一五分ほど蒸らして作ってみた。

 

このお茶を作る作業が、何だか丁寧に手間をかけてる気がして、

何だか心が落ち着いていいなと思った。

 

作った耕心茶を飲んでみると、冬に健一自然農園に見学に行った景色を思いだす。

 


奈良の自然いっぱいの山の中でたくさんの枝や茎を刈りとってる人達、

大地、山全てのものが大きく呼吸をしながら、何だか生き生きといきているような気がした。

 

ひとつのお茶に、色々な人の想いや手がかけられ、心がこもっているお茶なんだな、

作り手の顔や、もっと大きな想いがこの耕心茶には詰まってる…。

 

お茶を飲んで元気になってほしい。無駄なものをなくしたい。

これからどんどんお茶畑で働く人が増えれば、山も人も活性化していく。

 

めぐりめぐって地球、環境にいい自然作りにもなっていく…。

 

一杯のお茶がそこまで考えられて丁寧に作られていることにおどろく。

お茶の話をとても楽しそうに話してくれた伊川さんのバイタリティーある姿も印象的だった。

 

皆このお茶のおかげかなと思った。

 

ちょっと一息つきたくて、今日も耕心茶を飲む。

私の生活が、ちょっといいお茶を飲むだけで、少し自分の体をいたわってやってるような気がして、

お茶とかにこだわる毎日もいいなぁと思う今日この頃。

 

今度は私も誰かにこのお茶すすめてみたいなぁ。

 

豊能障害者労働センター

今中 理恵

 

毎日の生活の中で、安心して飲み続け、心も体も癒される
無農薬・自然栽培の「ゆっくりと茶リレーエッセイ」を連載しています。


 

2月10日に豊能障害者労働センターが、通信販売で、

「ゆっくりと自然と共に」って言うお茶事業をしてて、

そのお茶を製造してる健一自然農園の所に行きました。


初めての取材とかもあって緊張と楽しみもありました。

 

場所は奈良県の大和のほうで広い土地があって、

お茶の木がいっぱいあってその木を三年かけて根から丸ごとばっさいして、

お茶の木を無駄なく丸ごと使用して、

お茶工場で一つ一つ人の手で葉と芽と木をよりわけて選別したりと

大変な作業してて、そこには障害者も一緒に仕事をしてて、いろんな方がかかわって

たくさんの人達がお茶を作ってるんだなと思いました。

 

僕は一つの事をたくさんの人の手でお茶を作ってるんだなと思いました。

やっぱり自然は空気もきれいで、お茶の木も丸ごと使うので捨てることがなく、

環境にもやさしく、自然なエネルギーは何か無限に広いような気がします。

 

僕はお茶がこんな風に作られるとこが見たことを学びました。

 

 健一自然農園で作られる耕心茶は、

リサイクルショップ「ゆっくり」と「ぶらぼう」にもおかせていただいているので、

もしよろしければ「ゆっくり」と「ぶらぼう」にたちよったさい一度試飲して見てください。

 

ちょっとホッとします。

 

 

豊能障害者労働センター

稲森 淳

 

毎日の生活の中で、安心して飲み続け、心も体も癒される
無農薬・自然栽培の「ゆっくりと茶リレーエッセイ」を連載しています。


私はお茶の好きな一人の女性です。
百貨店でも、お茶の香りが漂うブースがあると、つい寄ってみたくなります。
本当に色々な種類のお茶がありますね。
皆さんはどんなお茶を選んで飲んでいますか?

私は、お茶を用意する時、茶葉の大きさ、湿気、急須と茶碗の温まり具合を観察します。
観察しながら、それまでのささくれや喜びで興奮した心を鎮めていくのです。
ですので職場でも自宅でも自分をリセットできる大事なひとときです。

去年、豊能障害者労働センター主催の奈良で無農薬自然栽培のお茶作りを
実践しておられる伊川健一さんの講演会に参加しました。

茶の木自体は人間のいうことをよくきいてくれる植物で、茶の木が喜ぶ植え方、
育て方があるというお話を伺って、伊川さんのお茶に対する深い愛情を感じました。

会場では茶樹の部分ごとに刈り取られたお茶や製法の違うものが用意され、
それぞれ、どういう時期に、どの様な製法で作られたものなのかをあてるクイズをしました。

長年、茶樹ごとに違うお茶が出来ると私は勝手に勘違いをしていたので、
同じ茶樹から全ての茶が出来るのを知ってびっくりしました。

私自身、普段から、変に思いこんでいたり、
あるいはよく知ろうとしないままに飲食しているんだなと改めて実感しました。

それは飲食に限らずパソコンや電気、ガス、交通、そして世の中に氾濫する情報というものも、
煎じ詰めれば出所も製造過程も明確でないものが多いし、余りに多岐にわたり、
膨大であるが故に、不安を抱きながらも飲みこまざる得ないのではないかと思います。

講演の後、豊能障害者労働センターで、耕心茶を買いました。
茶樹の葉・茎・枝を丸ごと全部使って薪火で焙煎して作られたお茶ということですが、
入れてみると大地の甘い香りが…。

飲むと身体の中で凍った何かが、冬の優しい陽光に溶かされて、大地に静かに帰っていくような。
冬のかまどで静かに、燃える薪の暖かさにあたっているような。

皆さんもどうぞ味わってみて下さい。

宮崎 佳数子


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